ローアングル透明椅子8808

前作8807の衝撃から一年、巷ではコロナだの何だのと騒がしいが、それだけにトラッドがトリックで前作以上の衝撃を与えてくれると、期待やら股間やらが膨らむのは当然の理といえよう。とは言え、8807で行き着くところまでいってしまったというべきか、裏技的禁じ手というべきか、トリックもヘッタクレもミモフタさえもないインパクトを発生させてしまったものだから、今回はそれにどこまで迫れるのかが見所というマイナススタートの感があったのも事実。結論を言えば、本作は、シューズリフもフロアリフも今までになくギリギリの線を攻めて高レベルで、傑作と言ってもよい。が、前作を前にすればやはり霞んでしまう、高額の設定も鑑みれば尚更だろう。ギリギリの線が魅力だったのに、一度でもそれをアッサリ超えられてしまうと、もう満足できなくなってしまう。まさに、過ぎたるは、及ばざるが如し。8807は、トラッドの生命線であるギリギリの価値観を転倒させてしまったのだ。（つづく）